第145章

氷上颯は、骨まで刺さるような冷たい風の中で立ち尽くし、テールランプが完全に闇へ溶けて消えるのを見送った。

胸の奥が、すとんと落ちる。――もう、終わりだ。

全身を絶望が塗りつぶしていった。

その頃、都心の私立病院。

病室は、目を覆いたくなるほど荒れ果てていた。

栗山加奈は正真正銘、狂ったように、手当たり次第に壊せるものを壊していた。

引き裂かれたシーツが床に散らばり、鼻をつく消毒液の匂いが濃く漂う。

「出てけ! みんな出てけ!」

栗山加奈はトレーを掴むなり、入口の看護師めがけて思いきり投げつけた。

ばん、と乱暴に扉が開く。

屈強な警備員が二人、ずかずかと入ってくる。

その...

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