第146章

相葉栞里はわずかに眉をひそめた。

少し意外だった。すべてを裏で操っているのは篠宮家だと、彼女はそう思い込んでいたのに。

「ただし――」五十嵐琉生が言葉を切り替える。瞳の奥に、ひやりとした光が走った。「篠宮菜帆が栗山加奈と密接に繋がっていたのは事実だ。栗山加奈が握っていた雇い入れの資金、その一部は篠宮家傘下の会社から流れている。菜帆自身が誘拐を直接立案したわけじゃないが、裏でずっと加奈を支えていた」

相葉栞里はグラスを握る指に、じわりと力を込めた。

それで十分だ。篠宮菜帆が自分だけ綺麗に逃げ切れるほど、世の中は甘くない。

栞里は身を翻し、琉生をまっすぐ見据える。夜の闇の中、その眼差し...

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