第160章

唇から顎へ。さらに、すらりと伸びた首筋へ。

相葉栞里は目を閉じたまま、彼の隙間なく降り注ぐキスを受け止める。あの結婚生活の中で、こんなふうに宝物みたいに扱われ、同時にどうしようもなく求められる感覚を知ったことはなかった。

五十嵐琉生の動きは強引なのに、乱暴じゃない。どこか心を撫でるような、落ち着かせる力がある。

夜は、さらに深く。

部屋の灯りは落とされ、絡み合う二人の影が壁に長く伸びた。

どれほど口づけを重ねたのか。栞里は時間の流れさえ忘れていた。

極限まで緩んだ身体に、遅れてやってきた疲労がどっと押し寄せる。

彼の広い胸に身を預けると、呼吸は次第に整い、ゆっくりと長くなってい...

ログインして続きを読む