第161章

「ほらほら、今日は五十嵐社長のおごり?」

鈴木瑠梨が相葉栞里の腕に絡みつき、にやにやとからかった。

「自分で払う」

栞里はその手をぱしっと払いのけ、二人並んでカフェを出る。

週末のショッピングモールは人で溢れていた。

いつも行くブランドを何軒か回り、手にはいくつもの紙袋。

3階の吹き抜けに差しかかったとき、前方から子どもの泣き声と喚き声が飛び込んできた。

本来なら関わる気はない。けれど――どこか聞き覚えがある。

栞里は反射的に顔を上げ、人混みの隙間越しに視線を走らせる。

そして、少し先の父子に目が止まった。

氷上颯と、氷上辰也。

二人とも、ひどい有様だった。

颯は皺だ...

ログインして続きを読む