第166章

「……誠意って、何のこと?」

篠宮菜帆は声を震わせて訊いた。

「栗山加奈は指名手配の身だ。あいつはお前の弱みを山ほど握ってる。五十嵐琉生からも釘を刺された――お前はもう余計な真似をするな、とな。だったらお前が栗山加奈をきれいに処理しろ。警察に突き出せ。それが相葉栞里へのプレゼントだ」

篠宮菜帆は、はっと顔を上げた。

屈辱と怒りが、胸の奥でどろどろと煮えたぎる。

だが篠宮波雄の冷え切った横顔を見た瞬間、拒めないと悟った。

「……分かった」

篠宮菜帆は奥歯を噛みしめ、俯いて瞳の底の怨嗟を隠した。

深夜。H市郊外、廃倉庫。

壊れた窓枠の隙間を冷たい風が抜け、ひゅう、と泣くような音...

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