第170章

パトカーのサイレンが遠ざかり、H市のホテル街の夜を切り裂いていった。

篠宮絵菜の罪は、もはや言い逃れようがなかった。

監視カメラの映像も、送金記録も、警察がその夜のうちに裏を取った。

五十嵐琉生は、彼女に息をつく隙すら与えない。

五十嵐グループの最精鋭の弁護団が、全面的に介入した。

法廷で篠宮絵菜は崩れ落ちるように泣き叫んだが、同情する者は一人もいなかった。

彼女の残りの人生は、塀の中で終わる。

――市中心病院。集中治療室。

機器が刻む「ピッ、ピッ」という単調な音だけが、冷たく響いていた。

篠宮波雄は一命を取り留めた。だが、化学薬品は神経系を徹底的に破壊していた。

医師は...

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