第18章

彼の傍らにいた護衛たちが素早く前へ出て、乱暴に記者たちを押しのけた。

人の波が引いたあと、相葉栞里は無様に地面へ手をつき、洗いざらしで色の抜けた襟元へ、ぽたぽたと血を落としていた。

氷上颯は彼女の前で足を止める。

黒のオーダーメイドの革靴は、塵ひとつ付いていない。足元に散った血だけが、嫌というほど鮮やかだった。

彼は高みから見下ろし、氷室の風みたいに冷えきった声で言い放つ。

「相葉栞里。ここまで騒ぎを大きくして、まだ自分が悪くないと思うのか」

彼は信じていた。

この傷だらけの姿も、世間から浴びせられる罵声も、彼女の高すぎる自尊心をへし折るには十分だと。

そうすれば昔みたいに、...

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