第20章

警察が証拠不十分を理由に、相葉栞里の保釈をいったん認める方向で調整していた、その矢先だった。

取調室のドアが、また押し開けられる。

慌ただしい様子の警官が入ってきて、担当刑事の耳元で何事かを囁いた。続けて、机の上へ――印刷された送金履歴の束を、どさりと置く。

「相葉さん。悪いが、もう帰れない」

刑事の顔つきが、異様なほど硬くなる。

「たった今、ネットに出た。あなたが金で人を雇って殺そうとした決定的な証拠だ。あなた名義の銀行口座から、3日前に出所した男へ50万を振り込んだ記録。それに、音声データが数本」

相葉栞里の背筋が、氷水を流し込まれたみたいに冷えた。

自分名義のカード?

...

ログインして続きを読む