第23章

「氷上社長――夫でありながら節穴なのか。自分の妻がどれだけ傷ついたかも知らず、責めてばかり。なら外野の俺が、代わりに面倒を見るまでだ」

「外野」という二文字を、五十嵐琉生はわざと重く噛んだ。

鈍い槌で、氷上颯の急所を叩き潰すみたいに。

氷上颯の顔色が、みるみる青黒くなる。

言い返そうとしても喉が詰まり、結局、ひと言も出てこなかった。

相葉栞里の血の滲む手に目が吸い寄せられる。

胸の奥から、理由もなく強い後悔がせり上がった。確かめに近づきたいのに、足だけが床に縫い付けられたみたいに動かない。

空気が限界まで張り詰めた、そのとき。

廊下から、車椅子の車輪が転がる音がした。

氷上...

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