第28章

相葉栞里は冷えきったコンクリートの柱にもたれ、栗山加奈のこの上なく白々しい顔を見つめた。もう冷笑する気にすらなれない。

「栗山加奈。ここには見物人なんていないわ。まだ芝居を続けるつもり?」

相葉栞里の声は異様なほど静かだった。捨てられた女の取り乱しなど、ひとかけらもない。

「この誘拐――あんたが仕組んだ狂言でしょう?」

栗山加奈の顔からさっと血の気が引いた。視線が泳ぐ。

「栞里お姉さん、何を言ってるの? 私だって被害者よ。ほら、私も縛られてるじゃない……」

「被害者?」

相葉栞里はぴしゃりと遮り、鋭い目を向けた。

「氷上家のボディガードは24時間あんたに張りついてる。車椅子の...

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