第33章

高村雷が血相を変えて駆け戻ってくるのを見るなり、氷上颯は眉間にわずかなしわを刻んだ。瞳の奥を、苛立ちがひとすじよぎる。

「どうした。……あいつ、罪を認めなかったのか?」

「い、いえ……違います……」

高村雷はごくりと唾を飲み、言い淀んだ。表情は極限まで複雑に歪んでいる。

「氷上社長。警察が連れてきた共犯なんですが……その……奥様、です」

氷上颯は、煙草を挟んだ指先をぴたりと止めた。

「……何だと?」

聞き間違いだと思った声が、瞬く間に低く沈む。

「奥様が……病室にいます」

高村雷が歯を食いしばるようにして繰り返した瞬間、氷上颯の瞳孔が大きく縮んだ。

名状しがたい動揺と衝撃...

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