第38章

彼女は氷のように冷たい視線を、なおも悪態をつく渡辺秋沢へ真っすぐ突き刺した。

「渡辺秋沢。あなたは私があなたを怪我させた、栗山加奈さんを倒したって、さっきからそればかりね」

相葉栞里の声は揺れない。言葉は硬質で、筋が通っていて、反論の余地を塞いでいく。

「廊下には監視カメラがある。見ればいい。先に私の腕を掴んで引っ張ったのはあなた。縫ったばかりの傷が裂けた。私は正当防衛で一度だけ蹴った。それから、栗山加奈さんが転んだのは、あなたが踏ん張れずに後退して車椅子にぶつけて倒したから」

ふっと、栞里が冷笑した。口元だけが歪み、嘲りの弧を描く。

「何? 自分がよろけて人を倒したのまで、私のせ...

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