第40章

もし、さっき監視カメラの映像が出ていなかったら――今ごろ床に押さえつけられて額を打ちつけさせられていたのは、彼女のほうだったかもしれない。

氷上颯はとっさに駆け寄って止めようとした。だが、もう一人の護衛に冷たく行く手を遮られる。

五十嵐家の人間は、よく訓練されていた。動きに一切の無駄がなく、手加減というものもない。

氷上颯はたった一人。軽々しく動けばどうなるかくらい、嫌でも分かる。

結局、青ざめた顔のままその場に立ち尽くすことしかできなかった。

渡辺秋沢は何度も頭を打ちつけさせられ、目の前がぐらぐら揺れた。額はたちまち赤く腫れ上がる。

屈辱に歯を食いしばり、指先が白くなるほど床の...

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