第45章

ボディガードの隊長が、その男を冷ややかに一瞥した。目に宿った気配に、騒がしかった廊下が一瞬だけ水を打ったように静まる。

彼は相葉栞里の前に向き直り、わずかに頭を下げた。

「相葉様。五十嵐社長より、あなたの身の安全を最優先でお守りするよう命じられております。どうかこちらへ」

相葉栞里は深く息を吸い、胸の奥で鈍くうねる痛みを押し殺すと、護衛に囲まれたまま歩き出した。

廊下の角を曲がろうとした、その刹那。

ふと視線が止まる。

廊下の突き当たり、薄暗い影の中に、見覚えのある男が立っていた。

氷上颯。

身体に吸いつくように仕立てられた高級スーツをまとい、すらりと立つその足元に、さっき駆...

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