第51章

彼の必死の庇い立て――しかも、確かめることすら怖がって目をそらす、その卑怯な姿を見ているうちに、相葉栞里は急に、どうしようもなく疲れきってしまった。

もう、言い争う気力すら残っていない。

眠ったふりをしている人間は、永遠に起こせない。氷上颯だって、栗山加奈に問題があることくらい分かっている。認めたくないだけだ。自分がこの五年間、馬鹿みたいにいいように転がされていたと。

「氷上颯……あなたって、本当に欲張りね」

相葉栞里はそっと目を閉じた。声は羽のように軽いのに、細い針のように正確に、氷上颯の胸の芯を刺した。

彼女は彼を見つめる。憐れみを湛えながら、同時に冷酷な目で。

「栗山加奈の...

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