第53章

病院へ向かう道中、氷上颯はアクセルを踏み抜いた。到着した頃には、すでに正面玄関前に規制線が張られ、人だかりができている。

颯はボディガードを連れ、ごった返す人混みを強引に押し退けて進むと、そのままVIP病棟へ駆け込んだ。

病室は荒れ放題だった。床には花瓶の破片が散らばり、きらきらと危うく光っている。

栗山加奈は薄い病衣のまま、裸足で半開きの窓枠に立っていた。今にもふらりと落ちそうな、不安定な姿勢。

窓の下には、額にガーゼを貼った渡辺秋沢が立っている。彼もまた、駆けつけたばかりなのだろう。

「加奈、やめろ! バカな真似するな! 氷上さんが、もう来る!」

秋沢は颯の姿を見つけた途端、...

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