第62章

廊下を曲がった、その先。

真正面から、見覚えのある二人と鉢合わせた。

氷上颯は身体に吸いつくような仕立ての良いスーツ。隣には、額にガーゼを貼った栗山加奈が立っている。

加奈は昨日の恐怖がまだ抜けきっていないのか、半身を颯の腕に絡めるように寄りかかっていた。親密すぎる距離。まるで――そこが本来の「夫婦の位置」だと言わんばかりに。

視線がぶつかった瞬間、空気がぴしりと凍りつく。

颯の目が、相葉栞里の隣にいる五十嵐琉生を捉えた途端、顔色が露骨に沈んだ。

強すぎる縄張り意識と独占欲が、火花を散らすように跳ね上がる。颯は大股で詰め寄り、灼けるような目で栞里を射抜いた。

「家で反省してろっ...

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