第63章

彼女の匂わせは、もはや隠す気すらないほど露骨だった。氷上颯の時間も労力も、ほとんどが彼女に注がれている。ふたりで食事に出かけることも多く、周囲から見ても親密そのもの――そんな関係だ。

その話を聞いた五十嵐琉生は、喉の奥でくっと笑った。

「栗山さんのその言葉、なかなか勉強になりますね」

五十嵐琉生は指を組み、テーブルの上に重ねて置く。椅子にもたれたまま、上から見下ろすように栗山加奈へ視線を落とした。声音は丁寧なのに、含まれるものは露骨な嘲りだ。

「既婚者の男性と独身の女性が、食の好みまでそんなに正確に把握してて、しかも仲良く息が合ってる。距離感が一般的じゃないのは、よく分かりました」

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