第77章

氷上颯と氷上辰也は、落ち着かない面持ちで結果を待っていた。

三十分ほどして――あらかじめ栗山加奈に手を回されていた主治医が、検査報告書を手に重たい顔で出てくる。

「氷上社長……」

医師は深く息をつき、悔やむような声で告げた。

「栗山さんのご容体は、非常に厳しい状態です。五年前の交通事故で負った損傷は不可逆で、そこへ最近の精神的な負荷が重なりました。心機能が、いま限界に近い」

氷上颯は雷に打たれたように硬直し、長身がぐらりと揺れる。

「……どういう意味だ。治らないのか? 金ならいくらでも出す。最高の薬を使え!」

医師は首を横に振った。

「お金の問題ではありません。現状の医療では...

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