第8章

受話器越しに響いた甲高い子どもの声は、毒を塗った氷の錐みたいに、相葉栞里の鼓膜へ容赦なく突き刺さった。

ひとつひとつの言葉に、子ども特有の混じり気のない憎しみが詰まっている。栞里の胸に残っていた最後の温もりまで、粉々に踏み潰した。

命を削って産んだ子。

五年かけて手をかけて育てた息子。

その子は、いつの間にか別の女に吹き込まれ、母親である彼女を、許しがたい仇だと決めつけていた。

母の愛と呼んでいた場所が、瞬きひとつの間に崩れ落ちる。もう、芽吹くものはない。

栞里は説明もしなかった。怒鳴りもしない。

ただ静かに通話を切り、その番号をブロックした。

――とうに捨てるべきだったゴミ...

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