第81章

相葉栞里は鼻で笑い、言い返そうと口を開きかけた、その瞬間――救急処置室の扉が外から乱暴に押し開けられた。

「辰也! あたしの孫ぉ!」

氷上の母が、ぶかぶかの病衣姿で、介護士に支えられながらよろめくように飛び込んでくる。

さっきまで上の集中治療室で目を覚ましたばかりだというのに、「孫が救急に運ばれた」と聞いた途端、息も絶え絶えの身体を無理やり動かして駆け下りてきたのだ。

彼女は一目で、酸素マスクをつけたまま処置台に横たわる氷上辰也を見つけ――胸をえぐられたように顔を歪めた。

そして次の瞬間、その視線が、傍らに立つ相葉栞里へ突き刺さる。

瞳の奥で、ぞっとするほどの悪意が爆ぜた。

「...

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