第84章

「もう知らない! 死んだって言うことなんか聞かない!」

氷上辰也が意地になって叫び、わざわざ身を乗り出して栗山加奈の保温ボウルへ口を近づけた。

「加奈おばさん、食べさせて!」

相葉栞里の堪忍袋が切れた。

この子を手放す覚悟はあっても、目の前で毒を飲ませて見殺しにする気はない。

「その器、渡して」

無駄口を叩く気もなく、相葉栞里は栗山加奈の手からボウルを奪い取ろうと手を伸ばした。

「や、やめて……栞里姉さん、辰也、お腹空いてるの。そんな……」

栗山加奈は口では懇願しながら、両腕で器を抱え込んで離さない。

引っ張り合ううちに、相葉栞里は気づく。

この女、力がある。それどころか...

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