第85章

「謝れば、この件はそれで終わりだ」

氷上颯は彼女の視線を避け、声の調子だけを落とした。まるで施しでも与えるみたいな寛容さで、折れろと迫る。

「謝る……?」

相葉栞里は口元をわずかに引き、かすかな冷笑を漏らした。

次の瞬間、彼の手を乱暴に振りほどき、床に散らばった粥の惨状を指さす。

「氷上颯。あの粥の中に、何が入ってるかちゃんと見て」

相葉栞里の声は、刃みたいに冷たかった。

「ピーナッツだけじゃない。パセリも浮いてる。辰也はパセリのほうが反応が強いのよ。口にしたらショックを起こすだけじゃなく、急性の喘息発作まで誘発する」

視線が、床にへたり込む栗山加奈へ刺さる。

「心配してる...

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