第90章

栗山加奈の顔色が、瞬く間に真っ青になった。

まさか、まだ5歳の子どもが成分表示を読めるだけでなく、病院で起きたことまで筋道立てて繋ぎ合わせてくるなんて――想像すらしていなかったのだ。

ついていた嘘を、幼い子に容赦なく見破られた。加奈は、わずかに動揺する。

「辰也、こんなやつのデタラメ聞いちゃだめ!」

栗山加奈は勢いよく立ち上がると、氷上辰也の手からビスケットをひったくった。後ろ暗さのせいで、動きは必要以上に乱暴になる。

彼女はそれを乱雑に袋へ押し込み、引きつった笑みを作った。

「おばさんが、辰也に意地悪するわけないでしょ? これ……これね、おばさんが間違えただけ。パッケージ、よく...

ログインして続きを読む