第91章

氷上颯の顔色が、瞬く間に青ざめた。大股で詰め寄り、相葉栞里の手首を乱暴につかむ。

力が強すぎる。今にも骨ごと砕かれそうだった。

「相葉栞里……いい加減にしろ。どこまで狂えば気が済むんだ?」

氷上颯は歯を食いしばり、瞳の奥で怒りと陰りがどろりと渦を巻く。

「俺の目の前で人に手を上げて……誰もお前を止められないとでも思ってるのか?」

ぐい、と引かれ、相葉栞里の身体がふらつく。バランスを崩して、半歩ぶん後ろへ押し戻された。

ソファに転がるように座り込んでいた栗山加奈は、氷上颯が相葉栞里を拘束したのを見た瞬間、目の底に怨毒が走った。

――今だ。

彼女は勢いよく立ち上がり、氷上颯の大き...

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