第94章

五十嵐奏斗はぱちぱちと瞬きをして、口元にいたずらっぽい笑みを浮かべた。

「今日はね、天女さんにサプライズがあるんだ」

相葉栞里は一瞬きょとんとする。もったいぶる気だと分かると、あえて追及しなかった。

劇場のラウンジ。

ドーム天井から下がるきらびやかなシャンデリアが、淡い光を落としている。

五十嵐奏斗が相葉栞里の前まで来て、墨緑のリボンが結ばれた真っ白なギフトボックスを差し出した。

「開けてみて」

少年の瞳がきらきらと弾む。

相葉栞里は首をかしげながら、指先でリボンをほどいた。

蓋を持ち上げた、その瞬間――息が止まる。

箱の中には、白のオートクチュールのバレエ衣装が静かに横...

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