第99章

滝川明也は振り返り、誇らしげに傍らの面々へ紹介した。

「彼女が、前に話した相葉栞里だ。俺が見てきた中で、いちばん才能のある教え子だよ。あのとき結婚のために団を辞めていなければ……今ごろ、どこまで行っていたか分からない」

プリンシパルたちは揃って頷き、隠しようもない称賛と惜しさを目に滲ませた。

客席で、栗山加奈はその場に凍りついた。

滝川明也の言葉が、ひとつ残らず耳に刺さる。

相葉栞里は踊れるだけじゃない。滝川明也の、いちばんの弟子。

その事実が、栗山加奈の心の最後の支えを粉々に砕いた。

相葉栞里はただの趣味の人間だと、ずっと思い込んでいたのに。現実は容赦なく頬を殴ってくる。

...

ログインして続きを読む