第138章

「北村、横塚昌利は二階にいるはずよ。ただ、このフロアもかなり広いから、今は南東の方角ってことしか分からないわ」

 南東の方角?

 北村はあたりを見回した。方向感覚には自信がある彼は、すぐに目星をつけたようだ。

「林田社長、二階の南東といえば個室エリアです。そちらへ行ってみましょうか」

 林田知意は頷いた。一刻の猶予もない。

 二人はカモフラージュのためにグラスを片手に持ち、ダンスフロアで軽く踊るふりをしてから、個室の方へと歩き出した。

 百近くある個室が並ぶその場所は、まるで迷宮のようだ。

 知意は眉をひそめた。なぜ人はこんな騒々しい場所を好むのか、理解に苦しむ。頭痛がしてきそ...

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