第189章 ついでに田中家を怒らせてもいい

林田知意は、道永社長の腹積もりを即座に見抜いた。彼は今ここで提携を即決するつもりはない。一度持ち帰って検討したいというのが本音だろうが、それを婉曲に表現しているに過ぎないのだ。

道永社長は少し決まりが悪そうに、苦笑いを浮かべて弁解した。

「道永グループの社長とはいえ、現場の専門的なことは部下に任せきりでしてね。私にはこの資料、ちんぷんかんぷんなんですよ。彼らに目を通させてから、林田社長にお返事する形でもよろしいですかな?」

林田知意は内心で冷ややかに笑う。堂々たる企業の社長が資料を読めないはずがない。単なる口実に過ぎないことなど百も承知だ。だが、今日こうして道永社長本人が足を運んでくれ...

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