第199章 時間を稼ぎたい

北村南の計画は、南風順の考えと完全に合致していた。真正面から押し入ろうとしたところで、ホテルの堅牢なドアをこじ開けることなど不可能だからだ。

策を弄するしかない。多根洋という男は用心深い性格で知られている。自分一人しかいない状況で、そう簡単にドアを開けるはずがないのだ。

もし彼が隙だらけの男なら、あのアメリカから逃げおおせることなどできなかっただろう。

「よし、決まりだな」

南風順は呼吸を整え、赤ワインの載ったトレイを恭しく構えると、その部屋の前まで歩み寄り、軽くノックをした。

「失礼いたします。ルームサービスでございます」

口調こそ丁寧だが、南風順の全身には緊張が走り、いつ戦闘...

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