第272章 人生で最も暗い時

林田知意のその言葉は、佐藤聡に深い衝撃を与えた。彼にとって、その記憶は長年抱き続けてきた最も美しい思い出だったが、彼女にとっては穢らわしいものに過ぎなかったのだ。

あの時、屋根の上で一緒に星を眺めていた彼女の笑顔は、あんなにも無邪気で輝いていたというのに。

佐藤聡がさらに何かを言いかけようとしたその時、ふと林田知意の目元が潤み、赤く腫れているのに気づいた。

彼女が今、必死に感情を押し殺しているのが痛いほど伝わってくる。その堪えに堪えた悲壮感が、佐藤聡の心を激しく締め付けた。

「佐藤社長、一度起きた出来事は、決して無かったことにはできません。あなたの記憶には美しいことばかりが残っている...

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