第307章 会社が争って彼女を使う

林田世津子はそう言いながら林田利佳を小突くと、自分から挨拶に行くよう目配せした。

勘の鋭い林田利佳は、林田世津子の視線が意味するものを瞬時に悟った。

彼女は自分の服装に視線を落とした。今日は少しばかり着飾ってきて正解だった。そうでなければ、大恥をかくところだった。

彼女はこほんと咳払いをして表情を整えると、薄っすらと笑みを浮かべ、北村南の真正面へと歩み寄った。

「こんにちは。あなたが盛田会社の社長でいらっしゃいますか?」

北村南はもともと焦っていた。あと15分もすれば林田社長が上の階で会議に出席しなければならないのに、いくら待っても林田知意が上がってこないため、わざわざ一階まで探し...

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