第55章

出かける前に自由は既に言い聞かせていた。お酒を飲まないようにと。

林田知意も素直に言うことを聞いて、たくさん飲むことはなかったが、知り合った社長が多く、一人一人と一杯ずつ飲んでいたら、今では七、八杯は飲んでいただろう。

もともとお酒に弱いうえに、解熱剤の効き目が切れかけていて、頭がくらくらと重くなってきていた。

本来ならもっと林田知意に社長たちを紹介するつもりだったが、田村翔太が振り返った瞬間、彼女の顔色が優れないのに気づいた。

「大丈夫?どうしたの?」

林田知意は力なく首を振った。

「大丈夫よ、ちょっと飲みすぎただけ」

「じゃあ、先に送ってあげようか?」

田村翔太は重要な人...

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