第59章

「おう」

林田知意はベッドから起き上がり、部屋を見回したが自由の姿はなかった。

「自由は帰ったの?」

「ああ、昨夜佐々木さんが迎えに来てな」

佐藤聡は伸びをしながら立ち上がった。昨夜からずっとこの姿勢で彼女のそばにいたため、全身が痛かった。

林田知意は彼の方を見た。

疲労の色が濃く浮かぶ彼の顔に、何か不思議な感情が胸の内に沸き起こるのを感じた。

朝目を覚まして、この男がここにいるのを見たとき、自分が夢を見ているのではないかとさえ思った。

佐藤聡が彼女のそばで一晩中見守るなんて、あり得ないことだったから。

「今日の調子はどうだ?」

佐藤聡は真剣な眼差しで林田知意を見つめ、今...

ログインして続きを読む