第65章

つい先ほど、佐藤グループの全社内システムが何者かによる侵入を受けたからだ。

ほんの一瞬の出来事とはいえ、企業としては致命的な失態といえる。

今朝方、佐藤聡が雷を落としたせいで、社内はただでさえ薄氷を踏むような緊張感に包まれていた。社員たちは皆、戦々恐々として業務にあたっていたのだ。

そんな折、システム部のマネージャーが血相を変えて高橋契のデスクへと駆け寄ってきた。

「高橋秘書、大変です! 高橋秘書、まずいことになりました!」

慌てふためくシステム部マネージャーの姿に、高橋契は怪訝な顔をした。荒垣誠がこれほど取り乱す姿など見たことがなかったからだ。

佐藤グループにおいて、他部署なら...

ログインして続きを読む