第71章

「聡、大丈夫? ずいぶん長かったけど」

佐藤恵子の小言を延々と聞かされていたせいか、個室に戻ってきた佐藤聡の顔色は優れなかった。

「なんでもない。会社でトラブルがあったから、俺は先に行く。みんなはゆっくり食べててくれ」

佐藤聡は淡々と言い放つと、返事も待たずにジャケットを掴み、そのまま個室を出て行ってしまった。

「えっ? 聡……でも、でもまだ一口も食べてないじゃない。夜にお腹空いちゃうよ?」

田中ひなは残念そうに声を上げた。せっかく佐藤聡と食事ができる機会だったのに、まさかこんなに早く帰ってしまうとは。

しかし佐藤聡は彼女の声など聞こえていないかのように、大股で去っていく。

佐...

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