第72章

脇に座っていた林田知意は、その言葉を耳にして思わず眉をひそめた。せっかく気晴らしに食事に来たというのに、どうしてこうも顔を見たくない連中ばかりに遭遇するのだろうか。

林田知意は席からすっと立ち上がると、氷のように冷ややかな表情で口を開いた。

「失礼ですが、少し言葉を慎んでいただけますか。私は一度だって、この娘が佐藤聡の子だなんて言った覚えはありません。それに、私の子供の父親が誰であろうと、あなた方には何の関係もないはずです」

その言葉に、佐々木秋子は少し呆気にとられた。

四年前、彼女も林田知意に会ったことがある。当時のこの女は、使用人に対してもオドオドとしていて、人前では口もきけない...

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