第160章 彼女を抱きしめた

福江良平は「問題ない」と冷たく言い捨て、大股で教室を後にした。

だが、ドアを開けた瞬間、そこに佇む雫の姿に気づき、思わず息を呑む。

福江良平は付き添いの家政婦を問い詰めた。

「なぜ雫がここにいる」

家政婦は困り果てた様子で答える。

「お嬢様が、どうしても綸ちゃんに会いたいと仰いまして……。だいぶ会っていないから、今日は絶対に会うんだと」

福江良平は眉をひそめた。

不可解だ。

雫と、あの千葉綸の間には一体何があったというのか。

極度の人見知りで他人を寄せ付けないはずの雫が、なぜあれほどまでに千葉綸に固執するのか。

A市空港。

千葉清美は首を長くして、人混みの中に守谷...

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