第167章 お金を使うだけ

程なくして、コンコンとドアを叩く音が響いた。

「どうぞ!」

高橋北が声を上げると、社長付きの秘書が入室し、一枚のブラックカードを彼に差し出した。

「高橋さん、これは福江社長からのお預かり物です」

高橋北はそのカードを受け取ると、ジャケットを羽織り、観念したように部屋を出た。

(まあいい。誰の買い物だろうが、仕事をしているよりはマシだろう)

運転手が水無月詩織を商店街の入り口まで送り届けた。

今日の彼女は、優雅で品のあるアンサンブルを身に纏っている。

端正な顔立ちに、すらりと伸びた長身。

その装いからは、一目で高級品だとわかる気品が漂っていた。

つばの広いキャペリンハットを...

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