第212章 まるで浮気した

福江良平は千葉清美の言葉を待たず、畳みかけるように言った。

「彼らが故意に持ち去ったと疑っているわけじゃないんだ。ただ、頼みたい。子供たちに聞いてみてくれないか。俺の書斎で、暗赤色の四角い箱を見なかったかって。もし見かけたなら、それがどこにあるのか教えてほしいんだ」

受話器越しにも、福江良平の焦燥が痛いほど伝わってくる。

「福江良平、その箱は……あなたにとって、そんなに大切なものなんですか?」

福江良平の声には、抑圧された苦痛が滲んでいた。

「ああ」

その一言で、千葉清美の心はふいに和らいだ。

「わかりました、焦らないで。すぐに子供たちに聞いてみます。それから、家の中も探してみ...

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