第245章 キス

「わたし、ずっと飲ませろなんて言ってません」

水無月詩織の瞳はどこまでも無垢そうだった。五代を一瞥して、静かに続ける。

「渡した時、この瓶は新品で、まだ封も開いてなかったんです。五代さんに渡しただけで、雫ちゃんに一本丸ごと飲ませろなんて、一言も言ってません」

「だったらどうして、ちゃんと言い含めておかなかったんだ」

「説明書が入ってたじゃありませんか。五代さんなら自分で読むと思ってました」

「水無月先生、あの時、毎食一錠って、そこまでしかおっしゃってませんでした! 何日飲ませるかなんて、聞いてません!」

五代は切羽詰まった声を上げる。

「安眠薬を大量に飲み続けたら駄目なんて、常...

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