第287章 降参

自室に戻った千葉清美は、手早くシャワーを浴びた。バスルームから出た途端、電話が鳴った。

意外にも、長野久美子からの着信だった。

「清美さん、雫ちゃんが体調を崩してしまって、ずっと清美さんの名前を呼んでいるんです。水無月先生を呼びましょうかと聞いたんですが、どうしても清美さんに会いたいと言い張って……」

千葉清美は、雫に対してどうしても冷酷にはなれなかった。あの時、福江良平に向かって『もう雫の治療はしない』と冷たい言葉を投げつけたものの、いざ雫の身に何かあれば、やはり気が気ではなかった。

彼女は急いで服を着替え、車を走らせて福江家の別荘へと向かった。

長野久美子はすでに玄関先で焦燥し...

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