第299章 いつの間に

千葉清美はその言葉を聞くなり、反射的にひゅっと身を引き、彼から遠ざかった。

福江良平は頬を赤らめた彼女を見て、脇に立ったまま俯いて笑う。

「千葉清美、おまえってほんと、からかい甲斐がないな」

千葉清美はきっと睨み返した。

シンガーのシェフと助手が入ってきて、千葉清美に挨拶する。

「千葉さん、おはようございます」

「おはようございます」

福江良平は両手を広げて立ち尽くす。

「料理人まで呼んだのか。じゃあ、なんで俺をキッチンに入れた?」

千葉清美は笑いながらその場を離れ、答えない。

そこへ咲花が勢いよく駆け込んで、千葉清美にぎゅっと抱きついた。

「ママ!」

千葉清美はしゃ...

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