第303章 彼女のほうからだった

中村颯太は口をあんぐりと開けた。ボスはいったい何をさせたいんだ? まさか、大人向けのアレを買ってこいってことじゃ……。そんなに待ちきれないのか。だって今は真っ昼間だ。しかも会社の中だぞ。

……これ。

断れるのか、俺。

千葉清美はそのままSTグループへは向かわず、途中で婦人服の店に立ち寄った。

店を出る頃には、すっかり装いが変わっていた。

紫の薔薇模様が散った、凝った意匠の長袖シルクブラウス。下は体に吸いつくタイトなスカートで、脚のまっすぐな長さがいやでも際立つ。ゆるく巻いた長い髪は、肩に無造作に落としていた。

その格好のまま、福江良平の執務室の前に立ち、控えめに扉を叩く。

顔を...

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