第322章 捨て駒

水無月詩織は魂が抜けたような足取りでアパートへ戻り、酒瓶を一本開けた。グラスすら使わない。瓶口をそのまま唇に当て、ゴクゴクと流し込む。ほどなく酔いが回り、ベッドに倒れ込むように眠った。

――これは悪い夢。目が覚めれば、全部やり直せる。

福江翔也が帰ってきたとき、目に入ったのは、手足を投げ出して寝息を立てる水無月詩織の姿だった。部屋には酒の臭いが充満し、鼻を突く。吐き気が込み上げるほどだ。

翔也は嫌悪を隠さず眉をひそめると、水無月詩織の部屋の扉を乱暴に閉めた。

後悔が、日に日に膨らんでいく。あのとき、どうして水無月詩織を「優しくて品のある女」だと思い込んだ? 俺の目が腐ってたのか、それ...

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