第327章 恥知らずな女

女はくすりと笑った。

福江翔也が彼女の耳もとに口を寄せる。「あいつなんか怖がるな。今のあいつが手にしてるものだって、全部俺が与えたんだ。俺から離れたら、行く場所なんてあるのかよ」

力を入れるのが怖いのか、翔也はそっと抱き寄せるだけだった。顔を伏せ、唇を重ねようとする。だが、彼女はするりと身を引いた。

「翔也……お腹」

翔也は慌てて腕をほどき、矢継ぎ早に頭を下げる。「ごめん、清美。君に無礼なことはしない!」

水無月詩織は口を開けたまま、咄嗟に両手でぎゅっと塞いだ。

あの女――千葉清美。

まだ身重のはずなのに。どうして真夜中に福江家の旧宅へ来て、こんな場所で福江翔也と密会している?...

ログインして続きを読む