第329章 負傷

野乃はおそるおそる彼女の顔を見た。「でも……水無月詩織が、千葉清美に思いきり平手打ちしたんです。あの子の頬、いきなり腫れ上がって……」

唐沢知子の口元に、ようやく笑みが戻った。「たかが一発。でも――火種には十分よ。野乃、まずは上出来。あとは水無月詩織がどう出るか、ね」

野乃が一歩前に出る。「ご安心ください。わたしがいます」

唐沢知子は小さくうなずいた。「いい子。期待を裏切らないで。午後、STグループの建設現場の引き渡し確認がある。福江社長も来るわ。野乃、あなたも行きなさい。できるだけ彼のそばに付くこと」

野乃もうなずく。「承知しました。唐沢さん」

唐沢知子が眉をひそめる。「『従姉』...

ログインして続きを読む