第330章 失明

責任者は、こんな突発事態が起きるとは夢にも思っていなかった。今日までに作業班の連中が、会場の隅々まで一度は点検している。危険箇所などあるはずがない――そう信じ切っていたのだ。

考える暇もない。彼は震える手で救急車を手配した。

福江良平は野乃の身体を支え起こし、袖をびりっと裂いて傷を確認する。

転げ落ちた辺りの地面には、取り残されたネジがいくつも転がっていた。

福江良平は責任者を睨み据えた。

「これが……俺に検収させた“成果”か」

怒鳴り散らすでもない。だが、その低い声は、責任者の耳には皮膚を剥いで呑み込まれそうなほど冷たく響いた。

福江良平はそれ以上相手にせず、野乃を横抱きにし...

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