第368章 親権

福江良平は受け取った。「これは何だ?」

壁灯の明かりを頼りに、上の文面をさらっと確認する。

千葉清美は彼を見据えた。「私のお腹の子について。あなたはその子の親権を放棄すること。それから、後になって覆すのもなし」

福江良平はろくに目を通しもしないまま、手を差し出した。「いい。ペンをくれ」

清美は、そこまであっさり承諾されるとは思っていなかったのだろう。目に見えて固まる。

福江良平が低い声で促す。「清美、ペン」

千葉清美は視線を落とし、引き出しを探ってサインペンを取り出し、手渡した。「読まなくていいの?」

福江良平は受け取ると、壁灯の光の下でさらさらと署名し、紙とペンを彼女に返した...

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