第373章 妊娠

千葉清美は心の中で思う。――今の私は、あなたのものでもないのに。けれど口には出さなかった。ただ黙って抱き返し、そっと彼の髪を撫でる。

どれだけ強い男だって、弱くなる瞬間はある。どうせ部屋の灯りは消えたまま、何も見えない。今だけは、好きなだけ泣かせてやればいい。

千葉清美がうつらうつらと眠りに落ちかけた、そのとき――電話の着信音が彼女を現実へ引き戻した。

彼女の端末ではない。

荒い息づかいが、福江良平の苛立ちを物語っていた。彼は千葉清美の腕の中から身を起こし、スマホを取って画面を見る。発信者は唐沢知子。

苛立ちを隠すこともなく上体を起こし、乱暴にスワイプして出た。

「唐沢知子……用...

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